パパとママは幼稚園の頃に離婚した。
高校生まではお兄ちゃんとママと3人暮らしだった。
高校は通信制。
月に20日くらいコンビニでバイトしていて、ママに携帯代込みで生活費5万渡していた。
高1からTwitterでDM来た男の人を相手にデート援していた。
病んでいることを呟くと返事が速攻でくる。
とりあえず会おうってなって、30代のおじさんと会うことになったよ。
暇だし家から近いし、ま、いいかなって感じ。怖いとかの不安はなかったかな。
別に何されてもいいし、何かされる前提で会っていたよ。
初めてのSEXは高1の頃だった。小中同級生のリア友、女の友だちの知り合いの男性に無理矢理犯された。
その後、その友達とは会っていないし、縁切った。怖かったし痛かったし、悪いイメージしかないSEXは。
それなのに変だよね。援交とかパパ活とかやって。
デート援ではご飯、買い物、家に行ってゲームするとかそういう感じで過ごす男の人もいた。
お金はもらっていない。寂しさを埋めてもらえるなら、別にいいかなって感じ。
リスカは中3の時からやっている。
ママが家に帰ってこなくなったのは中1くらいからだったかな。
ママの機嫌で家には食事はあったりなかったり。ない時はコンビニで買っていたかな、やきとりとか、チキンとかおにぎりを。
機嫌悪いと怖いしさ、手は出す時もあった。
「じゃま、家から出ていけ。顔見たくない。あんたのせいで家つぶれた」とか言われた。
家族をバラバラにしたのは自分だって思っちゃう。
幼稚園の頃、靴下がないからそれをママに言ったらパパと喧嘩になって、暴力振るってた。
それが離婚のきっかけになったらしい。お兄ちゃんはそれがおもしろくなかったらしく、グレて、それも私のせいにされた。
でもお父さんに彼女が出来て、時々会っていたのに「もう来るな」って言われて、それから会っていない。
中2から家出して、街を彷徨っていた。家出してもママからは連絡はなかったよ。
夕方から朝までずっと公園にいたり、友だちの家にいて過ごしていた。
家に一人でいるより楽しいし、寂しくなかった。
ひとりでいるのはとにかく嫌だったから。
そこに愛がなくても求めてしまうのは、誰かに認めてもらいたいだけ。
そこに私がいてもいいっていう証が欲しいだけ。
生きていいんだって、一瞬でもいいから感じたいんだよ。
薬をのんでしまうのは死にたいから。記憶を飛ばしたいし、起きていたくない。
高校やめて風俗で仕事していた時、この人に殺されるかもって思ったことがあってね、客だったんだけど、首締められて意識が遠のいた時に「あ、このまま死ねたらいいな」って考えていた。
苦しいのに苦しくなかったの。その前もそれからも「死にたいです」ってTwitterでも呟いている。
生きている意味がわからないから。
返事はすぐ来る。その人の過去の呟いている内容とか、フォロー数とか、アイコンとか調べて、いいかなって思ったら会うことにしている。年齢は気にしない。やりとりの返信のスピードが早かったり、言葉使いが丁寧な人は印象もいいし、会ってもいいかなって思うかな。その中でも距離的に今すぐ会えそうな人を選んでいる。こういう時って自暴自棄になっているし、自分なんて別にどうでもいいから、実はそんなには気にしていない。
死にたいというよりは本当は消えたいがあっているかな。出来るならこの世からいなかったことにしたいの。男の人と会いたいわけではないけど、返事くるのが大体男の人だから仕方なく会っている感じ。「話聞きますよ?」っいうメッセージの裏に下心があるのはわかっているけど、頼ってしまう。
でも会ってホテルで2人きりの時に、「殺していい?」って聞いてきた男の人がいた。
私は「いいよ」って答えたけど、でも殺してくれなかった。
その人もSEX目的だったみたい。
SNSで今まで出会った数は30人くらいかな。パパ活の人や援交の人も含めてだけど、みんなどの人も下心のある男性しかいないよ。気持ち悪いって思うし、SEXも嫌だしやりたくないけど、そんな気持ちも消えて、どうでも良くなってしまうの。
どうせ汚い私だしもういいやって。
腕もリスカの傷だらけだし、こんな私を受けいれてくれる人がいるのが嬉しいって気持ちも正直に言えばあるのかもしれないな。
「強さも弱さも全部大事。
ありのままの自分を受け止めてあげて。
自分の弱さを受け入れて初めて相手の弱さも感じられるんだよ」
あなたに何度も繰り返し伝えてきた言葉。覚えているかな。
頑強な心と繊細な心の狭間にいるあなたは、いつも葛藤の波の中にいるようで、目を瞑ると消えてしまいそうで恐怖すら感じる時もある。
死にたいと生きたい。
今いる場所から逃げたい気持ちと、ずっといたいと願う気持ち。
脆さと強さ。
危うさと優しさ。
ひとりでいることと、孤独は違う。
孤独感が苦しくて、それを耐えるために薬をのんで、自分を麻痺させる以外の方法が見つからなかったんだよね。
過去に引き戻されて、つらい思い出に身が引き裂かれ、フラッシュバックの状況から逃げたかったんだよね。
切って切って、のんでのんで、自分を傷つけて痛みを感じながら、迷いながら、躓きながら、傷だらけでも、生きていてほしい。
あなたは言った。
「今はもう少しだけ生きてみようって思えるよ」
それでいい。
それでいいんだよ。
今だけでもいい。
生きていたいと感じているあなたの祈りを信じて。
目の前にあるこの時間に身を置いて、今日もあなたの声を聞かせて。
2023.8/1 橘ジュン=取材・文 / interview & text by Jun Tachibana
KEN=写真 /photography by KEN
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