
“今日は、弟の誕生日だったよ。
お母さんもお父さんも笑ってた、おめでとうって。
羨ましくて。”
2025.7/1 竹下奈都子=取材・文 / interview & text by Natsuko Takeshita
KEN=写真 /photography by KEN
※写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。 photo is an image. They are not related to the content of the text.
お家がなく過ごしてた時、過ごす場所ができて、頑張れなくなってしまう自分が出てきてしまうんじゃないか。って、物凄く怖かった。家がないから、寝れる場所もなくて、一息つけるような場所もずっとなくて。ある意味、ずっと危機的状況というか。神経ずっと張ってた。
だから自分の気持ちに目を向けてあげられる余裕とかもあんまりなかったし、向けないように、生きてた。
SNSで会った人の家か、公園、最後の方は夜職詰め込んで過ごして、一晩過ごして。だから、休むって選択肢が1ミリも過らなくて。どれだけしんどくても、動かないと体が寒かったり、痛かったり、で、限界で、生命の方が死んじゃうから。心を守らずに、無視して、殺して、まだ大丈夫。まだいける。って誤魔化し続けて動いてた。で、結果的に、全部ちゃんとこなせてたの。
だけど、お家がある人生を送り始めてから、今日どこで過ごそう、とか考えずに済む生活を22年間生きててほぼ初めて感じて。
そしたら、無理な時は無理だし、限界な時は限界になっちゃった。いままで大丈夫だったのに、我慢してた、無視してた、大丈夫じゃない痛みや苦しみが、後から全部襲ってきて、苦しくなっちゃった。学校に1時間いけなかった。ってだけで、なんか、人生ですごい大きな失敗をしてる、みたいな感覚になっちゃって。病院とかで、「学校いけた?」って聞かれることも責められてるように聞こえて。なんか辛くなってきちゃった。前できてたことが出来なくなっていくのって、なんか喪失体験みたいですごく苦しい。出来てた時だって別に苦しくなかったわけじゃないのに。
いままで頑張れてたのに怠けてたり甘えてる気がする。全部できてたのに、動けなかったり、1人で抱えてられたのに、抱えられなくなっちゃったり。だめだめだなぁって。
どうしたらもっと強くなれるんだろう。
もうやすみたいよ。
子どもでいて許された子どもの時に、ちゃんと子どもでいたかった。気づいたら、年齢だけが先に進んで、心が全く追いつかなくて、こんなこと考える自分も幼稚で嫌で。
誕生日って年齢のギャップ感じるから嫌で。何だか今年は余計にそれを感じる。自分の状況がいつもよりも、いままでよりも、見えてるからかもしれない。自分なんかが家ある生活しなきゃよかったのかな。望みすぎたのかな。あのまま風俗続けてホストハマって、って、ボロボロに堕ちていってたほうが正解だったかな。自分が救われることに慣れない。救われたのかな。だめになったのかな。もうわかんないや。でも弱くなっちゃった気がする。頑張れなくてごめんなさい。
家ができてもずっと病んでるし元気になれないからみんな離れていきそうで怖い。離れられる前に離れた方がいい気もする。からみんなの前からいなくなりたい。
どうしたらいいんだろう。
死にたいけど生きてたい。
わかんないから死にたい。
飛び降りるなら、死んじゃえ、って思うよね。
死ねなくて生きててごめんなさい。
自分なんかもう死んじゃえ。
10代当時、児童相談所に繋がることを断固として拒否し続けた。
居場所がほしかったはずなのに、
定着した住処を作ることを怖がり嫌がった。
長い時間をかけて、
ようやく安定した住居を確保できてから数ヶ月後の、
22歳のルカからの言葉だった。
はじめまして、関東に住んでいる15歳です。いつもラジオ聞いてます。ずっといじめられてて友達いなくてこのことずっと親にも友達にも馬鹿にされてきて、辛くて高校入ってから自分のキャラを変えたら友達できたけど、その友達、周りの人の愚痴たくさん言っててなんか自分が言われてたこと思い出して怖くなって距離置いちゃって。そしたら、その子に悪口いわれて避けられて。結局また居場所なくなっちゃった。疲れて家帰っても親には話しかけると怒られる。リビングいると顔見たくないから自分の部屋行けって言われる。でも、周りの目とか気にする人だから夜遅く出歩いたりするとおこられる。ここ3、4年ずっと頭痛、腹痛、めまいが酷くて、死ぬ勇気はないけど最近毎日死ぬことばっかり考えてる。朝、無意識に安全柵ない電車のホームから飛び込みそうになって。なんか、こんなことで悩んでる自分が嫌い。でもどうしていいかわからない。親にも友達にも避けられるって私が悪いのかな。それに、距離置いたことによってその子のこと傷つけちゃったかなって罪悪感。そもそも我慢して距離置かなかったらこんなことになってないのにとも思って、私ってわがままなのかな。なんか要点まとまってないですよね、でも誰かに話したかったし繋がりたかったんです。
こんな長文すみません。
ラジオで紹介させてもらった。
まだルカのことを全然わからない状態で、最低限の分かり得る範囲内でのコメントでしかなかったが、紹介してもらえて嬉しかったとメールがきた。
コメントしたことに対して、でもこういう状況なんだと詳しく説明もしてくれ対話は続き、その後すぐ相談室にも来てくれた。
ルカは家にも学校にも居場所がなく、いつも自分が居てもいい場所を探していた。
学校も嫌いだったが、ルカの中ではまだ安全基地。
通っている塾が唯一の居場所で、その定期内で通えるbondの相談室もその一つとなっていったのかもしれない。