2023-08-01

誰でもいいから愛されたい

“そこに愛がなくても求めてしまうのは、誰かに認めてもらいたいだけ。そこに私がいてもいいっていう証が欲しいだけ。
生きていいんだって、一瞬でもいいから感じたいんだよ。”

2023.8/1 橘ジュン=取材・文 / interview & text by Jun Tachibana
KEN=写真 /photography by KEN 
※写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。 photo is an image. They are not related to the content of the text.

灯りが消えた部屋の中でひとり。
膝を抱えて座っていた。
目から溢れ出した涙が頬をつたう。
なんで泣いているのか、自分でもわからない。

「寂しくて空っぽ」

言葉で表現するならこんな感じ。
何の不安も感じずに一日だけでも生きていたいと生きていけたらいいのに。

寂しくて、温もりがほしいと思ってしまう。
相手は誰でもいいんだ。
通りすがりの買い物袋を持っているおじいさんでもいいし、ガラガラのバスの中でわざわざ私の隣に座ってきた痴漢目的のおじさんでもいい。
誰でもいいから、私のことを必要としてくれればいいの。

愛してほしい。
だから本音を言えばお金なんていらない。
パパ活も援交も誰でもいいから、ぎゅっとしてもらって愛される感覚がほしいだけ。
そんな時だけ、ああ、自分は生きてるって感じられるから。

そんな行為が愛なんかじゃないって、わかっているけど、愛の意味なんてそもそもわからない。
一瞬でも必要としてもらえるなら、それでいいの。
その後、「ああ、避妊してもらってないや。赤ちゃんできたらどうしよう。っていうかこの人の名前知らないや。どこに住んでるかも、何している人なのかも知らないや。どうしよう」って落ち込んだりしても、
でも寂しさに打ち勝つ行為が他に思い浮かばないんだよ。
つくづく自分ってバカだなって思う。
こんなクソみたい私は生きてていい理由がないよね。
そう、だから死にたい。
薬たくさんのんで、ボロボロになりたい。
だいたい今の生活が自分に見合っていないって思う時がある。
でも、話を聞いてもらえるところと出会ってなかったら、生きていないと思う。
オムライスやチャーハンに具が入っているなんて知らなかったし、何されるかわからなくてビクビクして夜眠ることもできない、そんな家庭環境だった。

今、過ごしているところは部屋があって、毎日、温かくて美味しいご飯を作ってもらって、本当に幸せ過ぎて、私なんかでいいのかな?って思っちゃうくらい。
小さい時から今までずっと、死ぬことしか考えられなくて、小学生の頃に川の橋から飛び降りようと思って柵を乗り越えたことが忘れられない。
いつも死にたいっていう気持ちがベースにはあるんだけど、生きていてもいいのかなって思えちゃう時もある。
私なんて風俗で働いて、眠剤たくさんのんで、ボロボロになって死んじゃえばいい。
ここから出でほっつき歩いて、知らないおじさんに声かけられて、誘いに応じて、パパ活して、風俗して、薬で死ねたら本望なんだ。こんなふうに思ってしまう自分がいて、これもすごく苦しい。
体調が悪くなりそうで、ここの人たちに迷惑かけないか、いつも不安だし、いつでも話してねって言われるけど、その時に言うことが難しいし、頭の中がパニックになるし、できないんだって思われたくないから無理しちゃうんだよね。


頑張ってるって思われたいし、自分でも思いたい。
今、一緒にいてくれる人たちから見放されたり嫌われるのがすごく怖いんだ。
だったら、その前に自分からここを出たい。去りたい。
優しさを遠ざけたくて、逃げたくなるんだ。

ページ: 1 2

LATEST