2024-10-01

私を見つけて #りりちゃんはごくちゅうです

真衣:自分は知らない男の人と会ってセックスしてるんだよね。こんなことを10年以上繰り返していたんだから、世界が狂ってるよね。歌舞伎に行けば誰か居るし、誰かに声をかけてほしい時は 1人でウロウロしていた。
そしたら、20歳の時、ホストに救われちゃった。
ずっと居場所もなかったし、やっと自分っていうのも見つけられた場所でもあるから。
でもどんどん違う方向に行ってしまった。誰も今まで私に教えてくれなかったし、 助けてくれなかった。
私を必要としてくれる友達、仲間が欲しかっただけなの。
達成感がほしかった。
信頼を感じられるもの、目標が同じで深く分かり合えてるような人たちと、達成感を感じたかった。
身体より心で繋がれる何かがほしかった。

自分を必要としてくれる居場所を求めて、
詐欺事件まで起こしてしまった真衣。
彼女と話している時に、ふと「かくれんぼ」をしているシーンが浮かんだ。隠れる人(子)と見つける人(鬼)に分かれて、鬼が目をふさいでいる間に子が隠れ、しばらく経ってから鬼が子を探し出すという遊び。

誰かをずっと待っている。
自分の存在を見つけてくれる誰か。
かくれんぼの遊びは鬼が子を見つけてゲームが終わるけれど、真衣がしていたのは終わりのない「かくれんぼ」。
見つけてほしくて、ずっと隠れている。
「私を見つけて」と、
自分のことを見つけてくれる誰かを待ちながら。

真衣にとって、
求めていた本当の救いとは何だったのだろう。

真衣:同じ境遇の女の子たちと本当の救いを見つけたい。
薬をたくさん飲んじゃう女の子が見せてくれたり、立ちんぼしてODしながら生きてる様子をTwitter(現 X)に載せたら『救われた』って女の子から言われたり、女の子を救えて役に立てるのなら何でもいい。その何かがわかったらいいんだけど。
私は歌舞伎とホストに救われた。
本当にずっと、どこにも居場所がなかった。誰も何も私に教えてくれなかったこの世界のことを、私を必要としてくれた。
でも「救い」って今まで思ったけど、 捕まってわかったことはそれは本当の救いじゃなかったってこと。
だから今度こそ本当の救いを見つけたい。それがわかったら、みんなに教えてあげたい。
警察に捕まえてもらえなかったら、もっともっとって、上を目指してしまって止められなかったはずだから。
私が役に立てるんだったら、何でもやってみたい。

橘:女の子たちに何かしてあげたいって思うのはどうして?

真衣:20歳の頃から困っている女の子たちに何かしたいって思っていた。
Twitter(現 X)してて、女の子たちから『救われた、マニュアル役に立ちました、ありがとう』って言ってくれることもあったけど、そう言われて、上を目指してしまって止められなくなっちゃった。周りの子にも詐欺している女の子がいて、詐欺を止められなかったから、苦しかった。
元々、マニュアル売る前はTwitter(現 X)で公開していたし、それ対しての質に答えていたの。 いっぱい、5000人くらいDMが届いて、それに返事していた。
それをホストの子に話したら、『売ればいいじゃん』って言われて、そうしちゃった。
希望になりたかった。

橘:どうして警察に「捕まえてくれてありがとう」と言ったの?

真衣:結果的に世界に救われたなって思ったから。
止められなかったから、誰かに止めて欲しかった。ホストは止めてくれないし、でも誰か止めてって思っていた。

2024年8月以降、真衣被告との面会後の関する記事などを一部抜粋する。(中京テレビNEWS NNN、朝日新聞デジタル、東海テレビによる記事より)

○被告人質問で、被害者への謝罪を改めて口にした被告。そして、自身の現在の生活について、「私は拘置所の生活にすごく助けられていて、外にいるときより、今の方が心が安定していて、職員さんとか見守ってくれている人がいるし、前より未来が明るくなっている。(拘置所に)入れたことに感謝している」と涙ながらに語った。

⚪「ホストクラブ以外に居場所があるとわかったから、今後は詐欺をする理由もない」と述べた。検察側は控訴棄却を求めた。 2024年8月7日午前10時。弁護士は一審の判決に不服申し立てを行い、名古屋高裁にて控訴審が始まった。  
「頂き女子りりちゃん」の名前でSNSで活動し、男性3人から計約1億5千万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた渡辺真衣被告(26)の控訴審第1回公判が7日、名古屋高裁であった。即日結審し、判決は9月30日。

○「頂き女子りりちゃん」を名乗る女が詐欺などの罪で逮捕・起訴された事件で、女に金を貢がせていた元ホストに、検察側が懲役3年6カ月を求刑した。

最後に。女の子たちへ、真衣からのメッセージ。

「大人に助けてもらおうよ。
その日できること、解決は難しいけれど、
でも何か一緒に考えてもらってほしい。」

取材・文 = 橘 ジュン/ Jun Tachibana
ルポライター。18歳の頃からアウトロー的な生き方をする少女たちの取材を行う。街中で出会った女の子たちのリアルな声を聞いて伝え、現在も10代20代の生きづらさを抱える女の子たちを支えるために活動を続けている。
NPO法人BONDプロジェクト代表。
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