2025-09-26

お薬天使ちゃん


血が出るのが楽しかった。
集中できる。
ポタポタ落ちるの楽しい。
誰もこんなこと周りでしてない。
それが1番嬉しかった。

誰よりも傷ついて居たかった。
誰よりも心配されたかった。
誰よりも辛い中に居たかった。

ポタポタ、血が止まらない。
ベッドの下に隠してたリスカ用のタオルがどんどん原型を留めなくなっていく。
どんどん鮮血が真っ黒になっていく度、私は堕ちて行った。
こんなはずじゃなかったのに、薬も止まらない。
最寄りのスーパー、ドラッグストア3店舗で買っていた市販薬。
制服でバレて販売中止になった。
ガーン。友達にお金払って、通販で大量に買ってもらった。神。
夜寝ずにボケーと音楽を聴きながら、たまに最果タヒさんの詩集を読みながら真似事で詩を書いてみたり、それで寝てないままもう学校の時間で。
嫌な授業ある1時間前に薬かち込んで、その授業はホワホワして受けて、なんか嫌な事あったら薬飲んで、飲みすぎてしまい&寝不足でトイレにゲロ吐いたり。
皆から心配されたり。

なんでこんな事するの?とか、
気持ちいいってどんな感じ?とか、
興味持たれて嬉しかった。

卒アルを見返すと頬は痩けてくまが酷かった。
丁度ODどハマり真っ最中だったな。
あと中2と中3は薬とピンクのカミソリがずっとお友達でした。
マイメロのお薬ケースに薬を20Tずつ分けていれて、ブレザーのポケットにカミソリを忍び込ませる。
まあ典型的なメンヘラだこと。
行き過ぎた自傷行為。
4階では死ねないってわかっていた。
自分の体を解放する飛び降りのアドレナリン。
ファッションになっていく私たちの悩み。
まだ捨てれない初めて吸ったタバコの空き箱。
壊れ始めちゃった14歳、薬の甘い糖衣。

ほんとうは親に心配されたかった。
ここまで追い詰めてごめんねって 早く気づいて欲しかった。
そしたらさ私、今もうちょっと元気だったんじゃないかな。

なんであの時気づいてくれなかったの。
なんで気づいても心配せず、私を叱ったの。
欲しかった言葉はひとつもなかった。

あー意味ないんだこういうのって思ってから、私の中でリストカットはただの暇つぶしと化した。
まあまあな頻度で薬を飲んでて、高1で普通にならなきゃ!と思って自傷行為もODも辞めた。
でも半年後に久しぶりに手を出してしまった。
リスカは みんなびっくりしちゃうからしなかったけど、やっぱこの多幸感の右に出るものはいないなあと思いながら、また音楽を聴いてネットサーフィンしてつらつらと短歌のようなものをツイートして幸せに浸っていた。
でも大変な事が起きました。
病院で血液検査をしたら肝臓の数値がめっちゃくちゃだと。
わー、やってしまった。
そこから大っきい病院行って薬飲んで治しました。
ちょっとだけ回数ひかえるようにしました。
その代わり肌寒くなってきたのでリストカットをしていました。
校則破ってピアスもあけたし、ここでもまた異端視されたくて、堪らなかった。
いい意味でも悪い意味でも興味持たれたかった。
母親が私に興味なかった分、承認欲求が人一倍多かった。
気づけば冬頃にはODもリストカットもただの趣味になっていた。
嗜むように腕を切り、手際よく血の処理をして、なんの抵抗もなく大量の錠剤を飲む。
おかしくなっていた。


誰か止めてくれてたらなあ。
それでも私の幸せ奪わないでなんて思っていたかも。



あの時、偽物の幸せに逃げた私を呪うかのように今でも薬は私を蝕む。
苦しい。
でも本気で辞める気は無いのかなと自分と対峙する。
コレ辞めたら幸せわかんなくなっちゃうよ。
幸せってさ、こんなんで味わえるものしか知らないでしょう。

薬を飲まずに腕を切らずにいつも笑っているあの子と特別だったあの子と何が違ったんですか。
私ずっと誰かの為に生きてきたのに自分を殺さなきゃならないんですか。
ねえ、教えて。
身体の3分の2はもう薬みたいなものですよ。
思考も全て、偽物の幸せに振り回される。
こんなの嫌だ。

ほんのちょっと興味があるからとか、
周りがしてるからとか、幸せになれる、
ふわふわするなんて、
そんな一瞬の快楽のために私はお金と人と普通の生活を失った。

何が1番大切だったのか。
何がほんとうの幸せだったのか。何がほんとうの幸せなのか。

一度考えてみて。
偽物に騙されないで。
たぶん、すぐ傍にあるよ。
焦らなくていいからさ、休んでいいから。
本音を話せば楽になるなんて甘ったるいことは言わないから。
私みたいな寂しい人間にならないで。

きっと貴方には光が似合うから。

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