2023-12-31

寂しさは笑顔の中にある

“彼女ではないけれど、その人のことが好きだから、
月50万使えるように、パパ活したりしながら稼いでいるんだ。“

2024.1/1 橘ジュン=取材・文 / interview & text by Jun Tachibana
KEN=写真 /photography by KEN 
※写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。photo is an image. They are not related to the content of the text.

歌舞伎には18歳の頃から毎日いるよ。
家出して夜の街にいたらホストに声かけられて行くようになって、
今は担当のホストの家かネットカフェ暮らし。風俗したり、パパ活してお金を稼いでほぼ毎日のように行ってる。

最低でも毎日2万円は必要なの。 
「大人で会える人いませんか?」って、
書き込めば返事が来るからね。
時間と金額があう人がいたら交渉して、会って相手をするっていう生活を4年くらい続けている。
親とはたまに連絡を取るけれど、心配されたことはないと思う。
帰らなくても親から連絡が来ることもないから。
あ、1回だけ心配されたことはあったかな。
トー横広場で風邪薬2瓶ODして、自殺未遂しちゃった時は心配してくれたのかも。
「今までありがとう」ってLINEを送ったから。
高校卒業して家がつまらなく感じて東京へ出て来ちゃった。

家族は母と弟。
父親とは会ったことがないし、顔も名前も知らない。
親から愛されているかなんて、そんなことわからないや。家にいても母さんは私に何もしてくれなかった。ご飯も作ってくれなくて、小さな頃からコンビニで買ったりしていた。
高校生の時はコンビニのバイト代で自分の食事代を出して、服も買っていた。母さんは私に関心がないのかもしれないって思って過ごしていたから。 

トー横にいた時はそこで出会った男の子たちと仲良くなって一緒にホテル泊まろうと誘われて、ホテル代をパパ活して、他の女の子と半分ずつ出し合って泊まったりしていたよ。
お金がなくて路上で過ごしている時とか、
特に雨の日はしんどかったな。
でも一人じゃなかったから、寂しくはなかった。

実家にいる頃からODはしていたけれど、18歳の時にメンタルが病んで飲んでみようかなって思って、家にあった頭痛薬を10錠飲んでみた。でもどんどん飲む量が増えていって癖になっちゃった。
つらい時にやりたくなるんだよね。

トー横に来た頃に知り合ったバーテンと過ごすようになって、そういう関係になって妊娠しちゃったの。
妊娠を告げた途端、相手の男の人は逃げちゃったんだ。
LINEの返事が来なくて、その人のお店はどこなのかも知らなくて、広場にも来なくなって、
どうすることも出来なくて赤ちゃんは堕した。
彼のことが好きだったから、つらかったし、悲しかった。

病院で処方された薬で舌を青くしてSNSにアップしたこともある。
その時は寂しさを紛らわせるためだったよ。
心配されたい。関心を持って欲しい。
誰でもいいから気にかけてほしいっていう思いから。
一人でいるくらいなら誰でもいいから誰かと一緒にいたい。
おじさんはお金をもらうために会っているだけだから本当は嫌だけど、一人よりはマシだと思ってしまう。
でも、そんな時ほど頼れそうな人が思い浮かばないんだよね、
女の子も男の子も誰もいなくて。

ホストにいっぱいお金使っていても、お金なくて使えない時は会ってもらえないってわかっているし、ちょっと寂しいかも。
それなのにホストに「沼」ってしまった。
過ごしている時間が楽しくて。

一瞬だけかもしれないけれど大切にしてくれるし、
会いに行ったら「かわいい」って言ってくれるし、
自己肯定感が上がるの。
彼女になれなくてもいいから、
お店以外で会える関係になれたらいいのにって思う。
今まで人から認めてもらえることがあまりなかったせいか、それが嬉しくて、楽しくてお金がないのに使ってしまうんだと思う。

担当のホストのことが好きだけれども彼氏ではない彼はパパ活でお金稼いでいることも知っている。
お金を使ったら好きでいさせてくれるからそのために頑張ろうって思っちゃう。
一緒に住んでいる好きな人とは体の関係はないの。
家に住むなら、彼の店で月50万使うって言うのが条件で住まわせてもらっているだけ。
店に行って彼を指名して、お金を使わなければ続かないような利害のある関係。鍵も渡してもらえなくて、彼の店に行って飲んで一緒に帰るような生活。

彼女ではないけれど、その人のことが好きだから、
50万使えるように、パパ活したりしながら稼いでいるんだ。

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